道路幅4mの規則を無視せよ

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宅地と道路の境界にブロックで塀を作って欲しいとの依頼があったので、見積書提出の後に作業員達が基礎工事に着手すると、依頼主から待ったがかかった。

依頼主「基礎の位置が違う。境界線はもッと道路寄りだ。」

道路は公道である。

道路が公道の場合は、道路幅4mを確保しなければならないという法律がある。それだけの幅がないと救急車や消防車の通行に支障をきたすという理由からだ。

道路添いに構造物を作る際は道路の中心点から2m以上離れて施工しなければならない規則だ。道路幅4mの確保は絶対守らなければならないことは施工する業者にとっては常識である。

依頼主の職業は県の役付き職員さんである。監督する立場の公務員が知らないはずが無い。法律がどうあれ、自宅の敷地いっぱいに境界ブロック工事をしろとの主張を曲げないのだ。自分の宅地がわずかでも道路に取られるのが我慢ならないらしい。

私「お客さんの言う通りにします。だけど市役所から中止命令が出たら、全部取り壊しになりますよ。工事やり直しになったら、取り壊し代、廃棄物処分代、がかかりますから全体の工事費は3倍になりますが、それでいいんですね。」と念を押して工事にとりかかった。

翌日、工事が終りかけたころ、市会議員と自称する人が怒鳴り込んで来た。

市会議員「工事中止中止!!、業者のくせに、こんなことも知らないのか」道路幅のことを責め立てられた。

私「お施主さんに直接言ってください。」

市会議員とお施主さんがしばらく話し込んでいたが、お施主さんがやってきて

「やり直しお願いします」と力なくつぶやくように告げた。どうやら、通らぬ我もあることを知ったらしい。

やり直し工事が完成したので、請求書を持参すると、今度は消費税を負けろと云われた。

依頼主は公務員である。税金を取る側が、税金を負けろとは理屈が通らない。消費税が公務員の人件費に充てられているとは思わないが、屁理屈をこねてみた。

私 「お役人が消費税負けろと云うのは、ご自分の給料いらないと云っているようなものじゃないですか?」

施主「・・・・・」

依頼主は何も云わずに工事代金プラス消費税分を全額支払った。

依頼主さんは、県内のあちらこちらに貸事務所やらアパートを所有しており、複数回にわたって修繕工事やらアパートの自転車置き場の新設工事の依頼が来るようになった。

偶然にも、私の高校のクラスメートが依頼主の直属の部下であることがわかり、クラスメートがなんだか気の毒くに思えた。

元店長

こんな偶然もあるんだ

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