移動しない車

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一台だけ移動しない車

100台程の駐車スペースのある貸し駐車場を整地して大型集合住宅を建設するため、別に新しい駐車場を作って
契約車両のオーナーに、新しい駐車スペースへの移動をお願いしたが、一台だけ移動しない車がある。
大和ハウスの現場での話である。

元店長

古い駐車場と新しい駐車場は隣接しており200M以内の移動。

大和ハウス現場監督からの指示

着工日が一週間後に迫ったころ、監督から呼び出しがあった。

監督「着工日が迫っているのに、一台だけ移動しない車がある。同和の関係者らしい。大和ハウスという大きな看板を背負った者が移動の催促に行くと、話がややこしくなる恐れがある。そこで看板を背負ってないお宅が「菓子折り」でも持って催促に行ってもらいたい。」

元店長

元請けの仕事なのに、厄介な相手だと逃げる。

とんだ責任転嫁である。本来なら下請け(協力業者とも言う)の出る幕ではない。普段は威張っているくせに、めんどくさい事からは逃げるが一番と思っているらしい。期待した「菓子折り代は負担するよ」の言葉も無い。

云われたとうり自腹を切って菓子折り持参で、移動しない車のオーナー宅へ新しい駐車スペースへの移動催促に行ってきた。

工事着工日の朝になっても移動しない車

工事着工日の朝、現場に行くと手土産持参の催促の甲斐もなく広い駐車場に一台だけ車が駐車している。すぐにアスファルトカッター専門業者を手配した。道路工事の時、分厚いアスファルトを切断する専門業者である。

一台の移動しない車のためだけにアスファルト切断専門業者を呼び、車の回りのアスファルトを切断させた。重機で破壊されたアスファルトの破片で車を傷つけないための予防策である。

工事前、工事後の車の写真も残した。

元店長

証拠写真をはバッチリ。

駐車場工事作業中

作業から2~3日後、移動していなかった車のオーナーから電話がかかってきた。工事によって車が傷つけられたから、修理代として30万円払えと云う内容だった。

予想どうりの展開である。

工事前、工事後の車の写真を撮って無傷を確認済みであり、強気に出ても問題ないと考えたが、元請けの大和ハウスの存在もある。本来なら元請けが対応すべき問題である。元請けの意向をを確かめた上で態度を決めようと考えた。

大和ハウスの監督に報告すると

監督「穏便に、穏便に、要求どうり払ってやって。次の現場で面倒見るから」

”次の現場で面倒見るから”の言葉は今まで何度聞いたことだろう。喉元過ぎれば熱さを忘れる。昔の人はうまいことを言ったものだ。

元店長

「後で面倒見る」の言葉ほど、あてにならないものは無い。


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