能ある者から消えてゆく

高校時代のクラス会の席での話である。

当時、一発当たればビルが建つと言われた高度成長期時代の出版業界の話である。会社に入って数年勤務し
ノーハウを身に着ければ、独立の夢を見るのは不思議ではない。

起業しても、ゼロからスタートしたのであれば成功するとは限らない。いやむしろ成功するのは少数派だろう。
私も30数年、個人企業経営者の端くれだったから解るのだが、善人はほぼ生き残れない。

私の若い頃からの知り合いで、ベンツを乗り回している成功している企業経営者は何人かいるが、全員金銭感覚が異常に貪欲で道徳観念に疑問符の付く人間である。この企業経営者達の悪行の話は後に譲ろう。

長年にわたりテレビを見ていて気づいたことがある。人気グループなどで活躍している主役がいつの間にか、テレビから消えて、グループの添え物的存在の者が主役に入れ替わっている。テレビを見る側から見て、歴然とした能力差があるにも関わらずである。

それが一組や2組ではない。能ある者から消えているのだ。それには様々な理由があるのだろうが、テレビを見ている側の人間にとっては不思議に感じる。

芸能人の場合人気におぼれて、傲慢になりすぎ裸の王様に担ぎあげられて自滅してゆく場合もあるだろうし、様々な誘惑に乗せられ、身を引かざるを得ない場合もあるだろう。他人の考えの及ばぬところだ。

自然界では強いものが残り、弱いものから消えてゆくのが原則であるが、人間は弱い者が残り強いものから消えてゆく。