悪質クレーマーには共通の現象がある

悪質クレーマーには共通の現象がある
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30年のリフォーム業の仕事の中で3人の悪質なクレーマーと出会った。10年に一度の割合である。工事完成後の引き渡しの際、支離滅裂な主張をするお客様がいらっしゃる。クレームとは呼べない、まさに難癖である。そして、それらの悪質クレーマーに共通した現象があることに気が付いた。

目次

時代背景と工事内容

バブル最盛期の1980年後期、建築業界は人手不足で契約工期の1~2か月の遅延は当たり前の時代であった。今聞くと嘘のような話だが、1日50,000円の日当を出しても必要な数の大工が集められないと言われた時代である。

施主は地元の市役所職員で年齢は30代後期か40代前期。奥さんと、一人は小学生低学年の女の子と就学前の女の子の4人家族。

車2台分の車庫を鉄骨で作り、車庫の上に女の子の部屋をプレハブで建て廊下を新設して母屋につなぐという工事だった。契約金額は500万程度だったと思う。

工事中⇒下部は車庫、上部は娘さんの部屋
元店長

違和感を持ったのは、商談中に奥様がまったく近づいて来ない。子供部屋が中心だから母親がメインになってあれこれ希望を述べるはずなのにそれがない。むしろ、よそよそしい。

クレーム内容

工事が完成したので、代金受領のため施主宅に伺うと、居間に通され、着座すると、目の前に分厚い書籍がドンと置かれた。表紙には「六法全書」とある。

怪訝に思っていると

ご主人「お宅は契約違反をしました。残金はお支払い出来ません。不服だったら裁判にかけてください。全然怖くありませんから」着手金、中間金と頂いていたので残金は200万円程である。

私「契約違反って何ですか?」

ご主人「契約工期が1週間遅延しました。契約違反です。1週間や10日遅れてもなんとも思わない人もいるかも知れませんが、私は1日遅れても我慢できない性分ですから」

工期遅延には十分な理由があった。ご主人も承知のはずである。

着工してから母屋に接続する廊下部分に、強力な”風道”があることに気がついたのである.

風道(かざみち)とは、周りの風を一点に集中して吹き抜ける風の通り道のことである。通り抜ける風圧に遭遇しなければ、その存在には気が付かない。簡易な木造作りの廊下では強力な風圧に耐えきれないと判断した。

工事の遅れは廊下部分の骨組みを木材から鉄骨へ変更したためによる遅れである。それに先に述べた通り住宅新築工事の遅延は人手不足で、2~3ケ月遅れが当たり前の時代でもある。

私  「ご主人も知ってるじゃないですか。木材から鉄骨に変更したことを。現場見積もりをして、風道に気づかなかったプ      ロの私にも責任があると思って増額請求もしてないじゃないですか」

ご主人「それには感謝してます。しかし、それとこれとは話は別です。」

私  「・・・・・」

ご主人「怒らないんですね?」

ご主人の無茶ぶりに、興奮して私が声を荒げることを期待しているような口ぶりである。

結末

元店長

その時、フッと気がついたことがある。奥様がまったく近づいてこない理由だ。ご主人の性格を熟知しているか故に、必ずトラブルを起こすことを予想していたから、私は関係ありません風なよそよそしい態度だったのだと謎が解けた。

後日、近所の顔みしりの市会議員の自宅を訪問して、市役所の職員との、これまでの顛末を話し善処方を申し入れた。

私「私は善良な一市民である。真面目に仕事し税金も収めている。この度の市役所職員から受けた行為は、我々の税金で生活する公務員の、善良な市民に対する暴力行為である。こんな職員は、即刻首にしろ」こんな意味のことを言ってねじこんだ。

翌日の朝一番で、残金200万円が私の店に届けられた。

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